【メディア情報】「フリーランチ流仕事術」で『図解住まいの寸法』を紹介

https://freelanch.jp/wp-content/uploads/2017/12/IMG_2028-500x282.jpg

■『図解 住まいの寸法』

 “建築・建設・不動産業界の多様な働き方を応援するメディア”「フリーランチ流仕事術」で、『図解 住まいの寸法』が紹介されています。
 内容の紹介と同様に「社内での打ち合わせ時に一冊あると、細かな設計のポイントの共有に役立ちます」など、非常に具体的な言葉で紹介いただいております。
 是非ご覧ください!

“建築・建設・不動産業界の多様な働き方を応援するメディア”
「フリーランチ流仕事術」

https://hatenablog-parts.com/embed?url=http%3A%2F%2Fbit.ly%2F2AL3OvBbit.ly

\\紹介された本はこちら//
『図解住まいの寸法 暮らしから考える設計のポイント』
堀野和人・黒田吏香、日本建築協会 企画

住宅の設計には、そこに住む人の暮らしをふまえた寸法への理解が欠かせない。本書では、玄関、階段、トイレ、洗面室など、住まいの13の空間の持つ機能と要素を整理し、そこで行われる生活行為に支障のない、理に適った寸法をわかりやすい2色刷イラストで紹介。寸法という数字の持つ意味を知ることで設計実務に活かせる一冊。

https://hatenablog-parts.com/embed?url=http%3A%2F%2Fbit.ly%2F2mk1gjEbit.ly

⇒「もくじ・はじめに」を試し読みできます!

広告

《新刊書評》「専門家の「孤独」──その役割は誰がどのように果たすべきか」評・藤村龍至

『地方都市を公共空間から再生する~日常のにぎわいをうむデザインとマネジメント~』(柴田久 著)の書評が公開されました!

https://i0.wp.com/www.gakugei-pub.jp/top/slide/5536local-public.jpg

「専門家の「孤独」──その役割は誰がどのように果たすべきか」

評 : 藤村 龍至 (建築家・東京藝術大学准教授)

「地方都市を公共空間から再生する」とは

 景観デザインの研究者でありデザイナーである柴田久氏の経験が詰まった一冊。読んでいると、公共空間のデザインに際しては日常性・波及性・継続性が必要であると説く「N・H・K」などの柴田氏らしいユーモアに微笑みつつ、現場で孤軍奮闘する氏の姿が目に浮かぶ

 ここでいう「地方都市を公共空間から再生する」とはどういうことか。柴田氏が関わった福岡市の天神駅前にある警固公園の改修プロジェクトは例として分かりやすい。福岡を代表するターミナル駅である天神駅のすぐ脇にあり、大名エリアへの入口にある重要な公園でありながら死角が多く、犯罪の温床であった同公園は、改修によって見事に蘇った。
 治安の悪化していた中心市街地を公共空間の改修によって再生する手法は、NYのブライアント・パークやLAのパーシング・スクエアなど、1980年代から90年代のアメリカの中心市街地で成功したものである。日本でも中心市街地の空洞化により、かつてのアメリカで見られていたような手法がリアリティを持って導入されるようになってきた。天神では目に見えて周辺の人の流れが変わり、日常風景が変わり、周辺の商業施設へ波及し、生き生きとした雰囲気が継続するようになった。まさに「N・H・K」プロジェクトである。

 ただ、ここ数年、公共空間の「N・H・K」をめぐる考え方にも幅が出てきた。同じ福岡市でも柴田氏が審査に関わった福岡市水上公園の改修は、行政が積極的に民間投資を呼びこむために敷地内の大きな部分を飲食店が占め、従来型の税金による整備を基本とした警固公園の改修とは根本的に考え方が異なる、経済部局主導のプロジェクトである。従来型の建設部局主導のプロジェクトの違いが現れているとすれば、リスクを取って投資する民間企業の論理が尊重されて公園の整備が行われるため、例えば屋上の広場が新たに提案されたとしても費用面でエレベーターの着床が実現しない等の課題がある。他方で警固公園の事例では商業エリアの中心に立地する公共空間であるため周辺地域の商業効果は語られるが、公園そのものの整備や維持管理の費用についての議論は別問題となっている。

揺れ動く専門家の役割

 このように都市の「公共空間」はその整備や維持管理、運営のあり方をめぐって今大きく揺れ動いている現場であり、本書を通読すると専門家としての柴田氏の役割もまた、大きく揺れ動いていることがわかる。柴田氏のベースは景観のデザイン理論であるが、周囲から期待される役割は一方で学識研究者として行政や地元コミュニティの協議に参加し、他方で景観デザインの理論に基いてコンサルの図面に赤入れをしながらデザインを望ましいものに導いていく、デザインコーディネーターの役割なのであろう。従来型の公共プロジェクトでは公園を管理する行政および技術者としてのコンサル業者と地元関係者が参加する委員会が組織され、調整役として学識経験者が参加するのが一般的であったが、研究者であり実践者でもある柴田氏が加わることで生き生きとした公共空間デザインのコーディネートが行われることは想像に難くない。

 デザイナーとコーディネーターの役割は同じアートというジャンルでありながら分かれてしまうことが多いビジュアルアートとパフォーミングアートの関係に似て、よく似ているが分かれてしまうことの多い職能である。警固公園は柴田氏のようなハイブリッド人材が参画したからこそ可能になったプロジェクトであり、他のプロジェクトでも柴田氏のハイブリッド性が発揮されたことで他の分野との協働も滑らかなものとなったのだろう(ex. 東峰村でのプロジェクト)。同じくデザイナーとコーディネーターの両方のキャリアを持つ山崎亮氏は自らを「コミュニティデザイナー」と定義することによってデザイナーとコーディネーターの役割を建前上分けることで職能をわかりやすくプレゼンテーションすることに成功した(ex. 延岡プロジェクト)。それは民主党政権以後の「コンクリートから人へ」の流れに呼応したものであったが、「つくらない」を強調することで空間の生産(ルフェーブル)と社会システムの再生産の呼応関係は見えづらくなる。それを避けようとする柴田氏はデザイナーとコーディネーターのあいだに立ち、あえて「つくる」を強調する。

社会全体で専門家を支えるには

 以上のように考えてくると今日の地方都市の再生という社会の課題に対して、柴田氏のような役を、誰がどのように務めるべきかという問題が浮上する。公共発注のプロジェクトの場合、中立性を保った専門家としての学識経験者の役割が期待されやすく、さらに地方都市にはコミュニティのまとまりが良くも悪くも生きており、学識関係者には大都市とは異なる期待される役割があるのかも知れないが、デザイナーとコーディネーターの両方をこなす柴田氏のようなハイブリッド人材は希少であるが故に、本来はもっと社会全体で共有すべき責任ある役割が柴田氏に過剰に集中しているようにも見える。柴田氏がたまたま出身地の九州で大学の教授になってしまったから背負ってしまう部分も多いのかも知れない。他に役を共有できる専門家が限られているから、生まれ故郷である九州で専門家として活動することには誇りと重圧が伴うことと思う。

 では柴田氏の「孤独」をどのように救えばいいのか。ひとつは専門家の社会参加を進め、責任をシェアしていくことが考えられるだろう。例えば、コーディネーターとして設計者選定の委員などを務めた実績をデザイナーとして他のプロポへ応募する際に積極的に評価するなどのやり方である。 そのように考えていくと、本書のタイトルは『地方都市を公共空間から再生する』であるが、内容をより正確にトレースするならば本書は「都市を公共空間から再生する専門職の再構築」について書かれた本なのかも知れない。景観デザイン関係者のみならず、柴田氏のような専門家に地方都市の再生を相談したい行政や地元コミュニティの関係者には広く読まれたいところであるが、同時に専門家に頼るのみならず、社会全体で専門家を支える仕組みについても、同時に想像を巡らせていきたいところである。

https://hatenablog-parts.com/embed?url=http%3A%2F%2Fbit.ly%2F2BZJMykbit.ly

◇◆関連書籍◆◇

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51fwI5nnD5L.jpg

『地方都市を公共空間から再生する~日常のにぎわいをうむデザインとマネジメント~』

柴田久 著

公園の環境悪化、小学校の廃校跡地、中心市街地からの百貨店撤退、車中心の道路空間等、地方都市が直面する公共空間・施設再生の処方箋。多くの現場で自治体・市民と協働してきた著者は、日常的に住民が集い活動できる場の創出こそが経済的な好循環にもつながると唱え、その手法を実例で詳述。行政職員・コンサルタント必携

A5判・236頁・定価 本体2600円+税
ISBN978-4-7615-2660-3
2017/11/25

https://hatenablog-parts.com/embed?url=http%3A%2F%2Fbit.ly%2F2h93i31bit.ly

▲まえがき・あとがきが試し読みできます!

【書評掲載】『堀部安嗣 小さな五角形の家』(建設通信新聞 3月8日付)

https://i1.wp.com/book.gakugei-pub.co.jp/mokuroku/book/1061/kentsu_170308_low.jpg

 

なんとも心地がよい。この本を最初に見た時の率直な印象だ

堀部安嗣 小さな五角形の家』の書評が〈質感まで伝わる心地よさ〉というタイトルで、2017年3月8日(水)の建設通信新聞に掲載されています。

━━━━━━━━━━━━━━━━━

【書誌情報】
堀部安嗣 小さな五角形の家 全図面と設計の現場』

堀部 安嗣 著/柳沢 究 構成
的確な寸法とプロポーションから導かれるプランニングの完成度。大らかな屋根の過不足ない構造美。空間に調和する細部のデザイン。建築家が“30坪の住宅”に込める設計思想の全貌を、きっかけとなった建主の一言、エスキス、実施図、施工図、構造家・造園家との協働、設備計画、施工現場と多様なプロセスから紐解く
A4変判・144頁・定価 本体3800円+税
ISBN978-4-7615-3225-3
2017/02/01

 

堀部安嗣 小さな五角形の家:全図面と設計の現場

堀部安嗣 小さな五角形の家:全図面と設計の現場

 

 

『大都市自治を問う 大阪・橋下市政の検証』藤井聡ほか編著

『大都市自治を問う 大阪・橋下市政の検証』
 藤井聡・村上弘・森裕之 編著
 A5判・224頁
 定価 本体2400円+税

◆11月22日、大阪ダブル選挙!◆
地方都市は、東京一極集中に対抗する自治の術をいかに持てるのか?
「改革」を掲げる橋下市政、その改革至上主義による大都市大阪の変貌を丁寧に追い、顧みられなかった改革の中身、政策の実体と問題点を、教育・医療・福祉・財政・防災等、研究者たちが徹底分析。
改革至上主義の限界と地方自治の展望を、総合的に検証した。

↓HPはこちら
http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/book/ISBN978-4-7615-2610-8.htm
★冨田宏治さん(関西学院大学法学部教授)による書評も掲載しています★

田口理穂 著 『なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか』

● おすすめの一冊/田口理穂 著
『なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか』

大島堅一氏(立命館大学国際関係学部教授)に書評をいただきました!

◎持続可能な社会を拓くためのヒント
「・・・本書は、現実に進んでいるドイツのエネルギーシフトの取り組みを、実際の取材にもとづいて活き活きと紹介している。・・・日本と同じ先進工業国でありながら、ドイツはなぜ日本とこれほどまでにちがうのか・・・」

↓つづきは「おすすめの1冊」へ
http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/syohyo/index.htm

『なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか』
http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/book/ISBN978-4-7615-2603-0.htm
━━━━━━━━━━━━━━━━━
● 10月のリツイートキャンペーン『なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか』
朝日新聞書評欄でも紹介されました★
↓URLをリツイート!抽選で1名様に1冊プレゼント
http://bit.ly/1P6dMLK

『狭小地3・4・5階建て住宅の設計法』大戸浩・森川貴史著&おすすめの1冊

『狭小地3・4・5階建て住宅の設計法』

大戸 浩・森川貴史 著

B5判・144頁
定価 本体3500円+税

━ 概要
二世帯居住、都心居住が注目される今、特殊条件が多い都心の狭小地でいかに設計施工を行うか。本書は、法規制、構造の制約、耐震・耐火への対応や環境設備面の工夫、施工時に配慮すべき点など、狭小地中層住宅設計のノウハウを50のキーワードで網羅。多数の写真と事例により木造・鉄骨・RC造それぞれのポイントを解説する。

↓HPはこちら
http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/book/ISBN978-4-7615-3219-2.htm

● おすすめの1冊/大垣尚司・三木義一・園田眞理子・馬場未織 著
『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』

田村誠邦氏(明治大学理工学部特任教授)に書評をいただきました!

◎“リテラシー”向上のために

「・・・「建築女子が聞く」という甘いフレーズに騙されてはいけない。・・・「住まいと金融」、「住まいと税制」について根本から学びたいと思っている方には、ぜひお薦めしたい本である。・・・」

↓つづきは「おすすめの1冊」へ
http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/syohyo/index.htm

『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』
http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/book/ISBN978-4-7615-2599-6.htm
━━━━━━━━━━━━━━━━━
● 9月のリツイートキャンペーン『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』
↓URLをリツイート!抽選で1名様に1冊プレゼント
http://bit.ly/1LVLMub

諸富徹 監修、若手再エネ実践者研究会 編著 『エネルギーの世界を変える。22人の仕事 事業・政策・研究の先駆者たち』

鈴木菜央氏(greenz.jp 編集長)に書評をいただきました!

◎エネルギーを自分事に”つなげる”ために
「本書の冒頭に登場する村楽エナジーの井筒耕平さんを「新しい時代のエネルギーベンチャー企業」として取材させていただいた。
廃業した温泉宿を「元湯」として復活させた井筒さんは、まもなく薪ボイラーを導入するということで、そうなれば、薪で沸かしたお湯に浸かって、エネルギーの地産地消を肌で感じることができる。・・・(後略)」
↓つづきは「おすすめの1冊」へ
http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/syohyo/index.htm

『エネルギーの世界を変える。22人の仕事』★増刷決定!★
http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/book/ISBN978-4-7615-1350-4.htm

諸富徹 監修、若手再エネ実践者研究会 編著 『エネルギーの世界を変える。22人の仕事 事業・政策・研究の先駆者たち』

諸富徹 監修、若手再エネ実践者研究会 編著
『エネルギーの世界を変える。22人の仕事 事業・政策・研究の先駆者たち』

鈴木菜央氏(greenz.jp 編集長)に書評をいただきました!

◎エネルギーを自分事に”つなげる”ために

「本書の冒頭に登場する村楽エナジーの井筒耕平さんを「新しい時代のエネルギーベンチャー企業」として取材させていただいた。廃業した温泉宿を「元湯」として復活させた井筒さんは、まもなく薪ボイラーを導入するということで、そうなれば、薪で沸かしたお湯に浸かって、エネルギーの地産地消を肌で感じることができる。・・・(後略)」

↓つづきは「おすすめの1冊」へ
http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/syohyo/index.htm

『エネルギーの世界を変える。22人の仕事』★増刷決定!★
http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/book/ISBN978-4-7615-1350-4.htm
━━━━━━━━━━━━━━━━━
● 8月のリツイートキャンペーン『エネルギーの世界を変える。22人の仕事』
↓URLをリツイート!抽選で1名様に1冊プレゼント
http://bit.ly/1E415sy

『リノベーションの新潮流 レガシー・レジェンド・ストーリー』 松永安光・漆原弘著

■学芸出版社 おすすめの一冊
松永 安光・漆原 弘 著
『リノベーションの新潮流 レガシー・レジェンド・ストーリー』
倉方俊輔氏に書評をいただきました!

倉方俊輔氏(建築史家/大阪市立大学
本書はリノベーション、「実践」や「都市」や「保存」に関わっている方はもちろん、これまで縁遠かった方々にも手に取ってほしいと思う。旅行したくなるような「楽しさ」の先にある新潮流を易しく、深く、教えてくれる一冊だ。

◎本書について
海外の最先端の都市では、地域に集積したストックの再生を起爆剤としてエリア価値を高めるとともに、新しいビジネスを育て雇用を生み出す「リノベーションまちづくり」が進んでいる。
本書では、日本でのリノベーションまちづくりのリーダーである筆者が、これまで調査してきたアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、オランダ、スペイン、中国、タイから、日本への示唆に富む事例を選び、その魅力と支える仕組み・効果を紹介する。
読みやすい文章と多数の写真、図で、専門家にはもちろん、リノベーションに関心を持つ行政、企業、土地所有者にも、その可能性を感じていただきたい。
詳細は「おすすめの一冊」で↓
http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/syohyo/index.htm

リツイートキャンペーン! http://bit.ly/1ILwNfm
上記URLをリツイート!抽選で1名様に1冊プレゼント
7月は『リノベーションの新潮流 レガシー・レジェンド・ストーリー』!

高橋寿太郎著『建築と不動産のあいだ』

● おすすめの一冊/高橋寿太郎 著
『建築と不動産のあいだ』

大島滋氏(株式会社ミサワホーム Aプロジェクト室室長)に書評をいただきました!

◎素人にとって、建築家と口を利くのは難しい

この本は、これから家を建てようとする人にとって役立つのはもちろん、これから独立して設計事務所を立ち上げようとする建築家にとっても役立つ本だ。なぜなら、今の時代、設計者にとってただ格好良いプランが描ければ良い時代ではない。・・・建て主と建築家のコミュニケーションには緊張感が生じているはずだ。ところが、はっきり言って素人にとって建築家と口を利くのは難しい。・・・(抜粋)

つづきは「おすすめの1冊」へ↓
http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/syohyo/index.htm
『建築と不動産のあいだ』
http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/book/ISBN978-4-7615-2594-1.htm

● 6月のリツイートキャンペーン『建築と不動産のあいだ』
↓URLをリツイート!抽選で1名様に1冊プレゼント
http://bit.ly/1FkHZgY

PUBLIC DESIGN 新しい公共空間のつくりかた

PUBLIC DESIGN
新しい公共空間のつくりかた

馬場正尊+Open A 編著
木下斉・松本理寿輝・古田秘馬・小松真実・田中陽明・樋渡啓祐 著
四六判・224頁・定価 本体1800円+税
ISBN978-4-7615-1348-1
2015-04-15

http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/syohyo/index.htm

■■内容紹介■■ 
パブリックスペースを変革する、地域経営、教育、プロジェクトデザイン、金融、シェア、政治の実践者6人に馬場正尊がインタビュー。マネジメント/オペレーション/プロモーション/コンセンサス/プランニング/マネタイズから見えた、新しい資本主義が向かう所有と共有の間、それを形にするパブリックデザインの方法論。

■パブリックをどう動かすか

○馬場正尊×藤村龍至

新著『PUBLIC DESIGN』やウェブサイト「公共R不動産」で新しい公共空間の扉を開こうとする馬場正尊。埼玉県鶴ヶ島市川越市、大宮地区で公共施設マネジメントに取り組む藤村龍至。まったく異なる方法論で「パブリック」に対峙する2人が語る、硬直したパブリックの動かし方、人口減少時代の建築家の役割とは。

○どうすれば人は動くか
馬場 今度『PUBLIC DESIGN 新しい公共空間のつくりかた』という本を出しました。この本の中でリアルなパブリックスペースをつくったり運営している人を6人ピックアップしてインタビューしているのですが、その6人が全員僕より若かった。この世代はどのようにパブリックを捉えているか、そこに新しい社会のシステムや空間の運営の方法論が眠っていると考えて、建築業界なら藤村さんにお話をお聞きしたいと思い、対談をお願いしました。
藤村さんは僕と世代もアプローチも違うわけですが、ストラテジー(戦略)はすごく似ている。僕もそうですが、藤村さんもプロジェクトを動かす時に、場で発表すること、メディアを使うことをきわめて意識的にやっていますよね。

藤村 以前、五十嵐太郎さんが「メディアの人はメディアに興味を持つ」と言っていたんです。たとえば新人が雑誌に取り上げてもらうには、まずメディアの人に関心を持ってもらう必要がある。地方都市で建築家と議論すると、彼らは目の前にあるコミュニティの人たちに向かって発信すれば物事は動いていく。一方、東京のような大きなパブリックでは、メディアを介してでなければつながれない。
私が東洋大学の学生たちと埼玉県鶴ヶ島市で公共施設マネジメントに取り組んでいるプロジェクトは、最初は地元のメディアにしか取り上げてもらえませんでしたが、渋谷のヒカリエで展覧会をしたら全国メディアで「先進的な事例」として紹介されるようになり、それまで消極的だった行政職員や住民たちの意識も変わっていきました。

馬場 僕は本やウェブといったマス的なメディアを媒介にして物事を動かそうとしていますが、藤村さんは事件のような展覧会やワークショップを起こして、それをマスにつなぐという、もっと小さいポーションで物事を仕掛けようとしている点が面白いですね。行政を動かそうとするとそのくらいのサイズから仕掛けていった方がよいという感覚があるんですか。

藤村 そうですね。ただ、情報発信の手段や速度は進化していますが、既存の制度・組織・地域社会といった「レガシーシステム」がついてこれるスピードはあまり変わっていないというのが現状です。
たとえば、「鶴ヶ島プロジェクト」でも、鶴ヶ島市に公共施設マネジメントを提案して、東洋大学のプロジェクトとして取り組み始めてから実際に行政が動くまでに5年くらいかかっています。鶴ヶ島市の人口はおよそ7万人です。7万人の市の組織というのはそれなりに大きいわけですが、最初の頃は市役所のロビーで展覧会をしても役所の人たちは素通りでした。公共施設マネジメントが自分たちの組織にとって将来的には重要だと言ってはいても、実際にはその問題意識は全然共有されていなかったわけです。ですが、5年が経ち、ようやく役所の人たちも動きだす雰囲気になってきました。

馬場 行政のレガシーシステムを動かすにはやはり「5年」かかるんですね。
僕はこれまで民間の仕事が多かったんですが、民間だと物事を動かすのに「3年」という感覚ですね。たとえば「東京R不動産」というメディアを立ち上げて、新しいプロジェクトが生まれるまでに大体3年くらいなんです。

藤村 たしかに民間に比べれば時間はかかりますが、逆にそれくらいかければ行政も意外と動くんだなとも感じています。
さらに行政の仕事の場合、政策とつなげることが大切です。公共施設の再配置を、総務省の公共施設利用計画や財政論、国土交通省のコンパクトなまちづくりや立地適正化計画といった政策メニューの間に位置づけて実行することが重要です。でなければ、行政組織はついてきません。逆に言えば、そこを突破口にすれば一つ一つのポーションは小さくても動いていくのです。

○公共と民間の境界線を引き直す

藤村 私は人口減少社会で皆が弱ってきているのは実は素晴らしいことだと思っています。開発の時代だと、たとえば鉄道会社と沿線自治体は、開発許認可の問題を巡って敵対しあう関係になりますが、人口減少が激しくて乗降人員がすごく減っている地域では、鉄道会社と行政が協調してどうやって人口を誘導しようか、都市機能を補完しようかという話しあいが必要になってくる。人口減少やお金がないということを入り口にして共通の戦略を持つような場面が徐々に生まれてきた。少し前なら信じられないことが起こっているのです。お金がないという状況は何か新しいしくみを生みだしていく突破口になるという気がしています。

馬場 今後は都市間競争が否応なく起こりますよね。これからの行政は生き残りをかけてほとんど民間と同じ感覚で地域を経営していかざるをえない状況になっていくと思います。

藤村 成功すればポートランド、失敗すればデトロイトというように、すでにアメリカでは結果がはっきりと出ています。日本でもデトロイトみたいになるところがどんどん出てくるかもしれませんが、そういう状況下で重要になってくるのが、「今持っているストックをどう使うか」ということです。たとえば中心市街地の道路は非常に貴重なストックです。道路使用を規制する道路交通法を柔らかくする、あるいは都市公園法を拡大解釈をして、道路や公園を広場みたいに使えるようにしていくと、札幌市のように人が集まる道路ができるわけです。このような取り組みができるかできないかが「都市の差」になって表れてくる。

馬場 ニューヨークがブルームバーグによって一気に変わったのは、まちを経営するスタイルを行政から民間団体に切り替えたからです。荒れ果てていたタイムズスクエアでは、ビルのオーナーたちが連合して会社を立ち上げ清掃・警備などを司るようになり治安が改善して、人が戻り不動産の価値も上がっていった。ブルームバーグは上手な民間開放を短期間に行ったことで都市を復活させたわけです。ポイントは都市を細かい経営のネットワーク体、集合体として捉え直したことだと思います。

藤村 ニューヨークでは、ブルームバーグゾーニングの40%を書き換えたといわれています。歩行者空間を拡大するとか、工場をホテルに替えるなどさまざまな規制が緩和できた背景には、「世論を啓発する」「行政と住民の間に専門家を入れる」といった、メディア出身のブルームバーグならではの戦略がありました。ガチガチの官僚組織で、多様な人種を抱えるニューヨークですら、10年かければ動くのです。

馬場 日本でもそうせざるをえないことはわかっているはずですよね。内閣府規制緩和委員会で僕も建築基準法の改正に対する意見を述べたりしているんですが、国交省の抵抗は大きそうです。

藤村 公共施設マネジメントで気をつけなくてはならないのは、耐用年数を迎えたこの施設とこの施設を統合して少し面積が減りましたというような場当たり的な統廃合です。実際には50年くらいの単位で全体を見渡して残すところと廃止するところを計画する必要があるはずですが、長期的な視点を持たずに場当たり的にやってしまい、どんどんお金が足りなくなっている事例が散見されます。
これは丹下健三の時代とすごく状況が似ています。戦後、戦地から大量に引き上げてきた人を受け入れるために炭鉱労働者住宅がたくさんつくられました。石炭産業が終わるのは目に見えていたにもかかわらず、炭鉱労働者住宅に予算がどんどん使われていたわけです。それに対して、丹下は、それでは絶対財政破綻する、将来的な産業の転換を見越してどこに投資するべきかきちんと考えるべきだと主張し、統計的なリサーチを行いました。それが、その後の日本の国土計画につながっています。
現在はそれとは逆で、人口が減少していく状況下でどこに投資するかをきちんと計画することが求められている。そういう意味では、計画論が逆説的に意味を持ちはじめているとも言えます。
たとえばニューヨークのブロードウェイでは交通シミュレーションなどの社会実験を行って、技術的な与件をきちんと組み立てた上で、ここを道路から広場にしようと計画を立てていったそうです。そこでは、計画がまず重要で、その後にプレイヤーが出てくる。ニューヨークの再生では、民間の経営者といった主体がたくさんいたことも成功の要因ではありますが、そのような行政によるきちんとした計画があったからこそ経営が可能になったという視点も重要な気がしています。

○トップアップとボトムアップ

藤村 先日、都市計画家の人たちとの議論の中でこんな話をしました。地籍が厳密にあるヨーロッパでは公的なもののあり方を皆で議論して決めることに対する責任感が非常に強いのに対し、地籍のないエリアが多い日本ではまちへの関心がかなり低いと。ですが、その一方で、果たして関心のない人たちを本当に喚起する必要があるのかという話もあります。自由に移動して暮らせる人たちや、お金がありサービスを買える人たちは基本的には関係ないわけです。ですから、サービスを買えない人たちが教育や福祉の問題に対してきちんと参加できるしくみさえ組み立てればよいのです。

馬場 藤村さんは社会のインフラシステムに興味があって、そこのボトムをどう担保しながら新しい時代の枠組みをつくっていくかという目線で物事を考え、進めているんですね。それに対して、僕はどちらかと言えば盤石なボトムを時間をかけてつくることよりも、トップアップで変えた方が手っ取り早いと考えるタイプなのかもしれません。
自分は、象徴的に変わるためのエンジンのようなものを提示することで、興味のある人から徐々に真似してもらおうというトップアップ作戦をやっているんだなと気づきました。「R不動産」のサイトもその価値がわかる人にだけわかってもらえばいいというスタンスでつくっていますし、『PUBLIC DESIGN』という本も象徴的に変化した事例を見せることから変えていくことを意図してつくりました。藤村さんと僕は見ている方向はすごく似ているけれど、アプローチはまったく逆なんですね。

藤村 しかし、トップアップというのは本当にパブリックと言えるのか?という疑問があります。パブリックには「すべての人に開く」という論理があって、つまりボトムを考えざるをえない。とはいえ、ボトムアップで公平性にこだわりすぎるあまり硬直している社会に対しての批判として、トップアップももちろん必要です。
最近は「リノベーションまちづくり」というのがすごく流行っています。閉塞した状況のなかで突破口をつくっていることはすごく素晴らしいことだとは思いますが、その事例を見ていると肝心の構造改革ができているのか時々疑問に思うことがあります。
私が最近の馬場さんの活動ですごく興味を持っているのは、点からの刺激を面にしたり、山を動かす意識を打ち出しておられるところです。そこが「リアルなパブリック」なんでしょうね。「新しいパブリック」は確かに動きだしているんですが、「リアルなパブリック」「レガシーのパブリック」をどう動かすか。

馬場 レガシーのパブリックに初めてぶつかり、怒りに近いものを感じる時もあります(笑)。行政の制度やルール、資金の流れなどがあまりに粘着質すぎて。どうやってそれを少しずつ壊していくか、試行錯誤しているところです。
たとえば最近、どんどん余っていく公共空間をうまく活用するシステムを構築できないかという問題意識から「公共R不動産」というウェブサイトをスタートさせました。地元では見向きもされない公共空間でも、全国的に紹介すれば東京の企業などが買ってくれて再流動化するのではないかという楽観的な感覚でつくり始めたんです。
でも実際にやってみると、公共空間が売りに出せない。「市民の反対が怖い」「将来の調整がついていない」「議員から何を言われるかわからない」といったさまざまな障害があって、「公共空間を売りに出したくても出せない」という地方の課題が浮き彫りになったんです。ほとんどの自治体で、行政資産を売買するフローがしっかりできていないし、資産価値を判断することもできない。スタートさせたものの、いきなり問題噴出という状況に直面したわけです。
鶴ヶ島市では、スムーズに公共空間の再配置を進めていける実感はありますか。

藤村 既存のレガシーシステムの中だけではなかなか動かないのかもしれません。鶴ヶ島でも大学という実験場が行政の横にあって、そこで世論をつくっていってようやくゆっくりと山が動きだした感じです。
私はオランダに1年間留学していたんですが、オランダの合意形成は本当にリニアで、意思決定はやたらと早い。その代わりに雑と言うか、あまり細かいことにこだわりません。それに対して、日本の場合は何でも時間をかけるというか、昔の寄合の意思決定のように三日三晩酒を飲んで騒いで後は長老に任せますみたいなリズムの違いがあるように思います。都市計画家の蓑原敬さんが仰るには、「あと10年」と言うと物事はなかなか動きませんが、「あと1000日」と言うと大体動くそうです(笑)。

○これからの建築家の役割

馬場 これまでの話から、「計画」いう行為のあり方が少しずつ変わってきているような感じがしますね。これからの計画というのは、ハード的な計画というよりも、「新しい枠組みをどうデザインするか」という方向へシフトしつつある。その枠組みは事業者が自由度をもって入れる枠組みであり、そのような枠組みの集積でこれからの都市は成立していくように思います。ですが、その枠組みのデザインに建築家が長らく参画していない状況にある。藤村さんは、その枠組みのデザインに僕ら建築家がきちんと参加していかなければならないというスタンスなんですね。

藤村 そうですね。かつては建築家が国の枠組みをデザインする時代がありました。60年代までの丹下健三と日本の政策は一致していましたが、70年代からはどんどん離れていきました。丹下は、工業地帯を集中配置することで投資が集中し経済発展が起こるということを主張していました。それに対して、自民党は農村の支持を得るために全国に工業都市をばらまきたい。すると、丹下の主張は論理的には正しいけれども政治的には正しくないということになり、そこでずれが生じてしまった。それ以降の丹下は国の行政からも遠ざけられ、建築家と政策との関係は、それ以降50年ほど切れてしまったわけです。
ですが現在、再びアカデミズムが役割を取り戻しつつある状況にあります。コミュニティと行政の間に入ったり、企業と地元の間に入ったりといろいろなケースがありますが、第三極としての大学や建築家協会、建築士会のような専門家の職能集団が果たす役割は大きいはずです。

馬場 建築家が中間的役割を果たすべきだというのが、藤村さんの大きなメッセージだということですね。でも、それは結構煩雑な作業ですよね。空間をつくるという職業的なゴールに辿り着くまでに膨大な労力がかかり、それに対する報酬も担保されにくい。ただ、コミュニティデザインといったやり方では社会に対してゴールを見せるという点で弱いと感じるところがあります。それに対して、最終的に物をつくるという僕ら建築家の職能であれば、そこをクリアしやすい。

藤村 こういう作業は時間がかかるものですが、いったん動きだすと一斉に動きだすという感覚があります。公共施設の再配置に関しては、2020年頃から全国的に一気に動き始めると思います。その時に建築家がきちんとノウハウを持っていなければ乗り遅れてしまいます。逆に、ノウハウを持っていればリードできるわけです。
私は鶴ヶ島プロジェクトを2011年、35歳の時に始めましたが、10年間くらいは大宮や川越市等でケーススタディをして、その後はいろいろな地域でそのノウハウを活かすようなフェーズに入っていきたいと思っています。
今後、行政も変わらないと生き残れませんから、民間のセンスで建築をつくったり、発注の条件を変えたり、いろいろな方法が試行錯誤されています。こういう状況下では大学や専門家集団が力を発揮します。建築家は大学で教えるようになると設計ができなくなってパワーダウンすると言われますが、むしろ大学でやることはたくさんあると感じています。「パブリックを考える」こともその一つですし、建築家にとって大きな可能性が広がっている時代なのではないでしょうか。

2015. 4. 21 『PUBLIC DESIGN 新しい公共空間のつくりかた』出版記念トーク、東京・co-lab西麻布にて

馬場正尊
Open A 代表/東京 R 不動産ディレクター/東北芸術工科大学准教授。 1968 年佐賀生まれ。早稲田大学大学院建築学科修了後、博報堂入社。早稲田大学大学院博士課程へ復学、雑誌『 A 』編集長を務める。 2003 年建築設計事務所 Open A を設立し、建築設計、都市計画まで幅広く手がけ、ウェブサイト 「東京 R 不動産」 「 公共 R 不動産 」を共同運営する。建築の近作に「佐賀市柳町歴史地区再生プロジェクト」「道頓堀角座」「雨読庵」「観月橋団地再生計画」など。近著に『PUBLIC DESIGN 新しい公共空間のつくりかた』『RePUBLIC 公共空間のリノベーション』など。
藤村龍至
藤村龍至建築設計事務所代表/東洋大学理工学部建築学科専任講師。 1976年東京生まれ。東京工業大学大学院博士課程単位取得退学。2005年より藤村龍至建築設計事務所主宰。2007年よりフリーペーパー『ROUNDABOUT JOURNAL』発行。建築設計やその教育、批評に加え、公共施設の老朽化と財政問題を背景とした住民参加型のシティマネジメント等に取り組む。建築の近作に「鶴ヶ島太陽光発電所環境教育施設」「APARTMENT N」「家の家」「小屋の家」「倉庫の家」など。近著に『批判的工学主義の建築 ソーシャル・アーキテクチャをめざして』『プロトタイピング 模型とつぶやき』など。

『太子堂・住民参加のまちづくり 暮らしがあるからまちなのだ!』

太子堂・住民参加のまちづくり 暮らしがあるからまちなのだ!』

梅津政之輔 著
四六判・208頁・定価 本体1900円+税
ISBN978-4-7615-1346-7
2015-02-15

■■内容紹介■■ 
30余年、ワークショップやまち歩き、協議会方式など参加型まちづくりの最先端を切り開いてきた世田谷区太子堂の地元リーダーによる書き下ろし。今なお続くトップダウン、ハード先行の大規模整備と比べ、早く、安く安全性を高め、コミュニティの絆も強めてきた太子堂の経験と、そこから生まれた思想を伝える渾身の一冊。

http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/syohyo/index.htm

■評 : 木下 勇 (元太子堂2・3丁目まちづくり協議会会員 千葉大学大学院園芸学研究科教授)

対立と真摯に向き合い、対話を重ねて人がつながる、持続可能なまちづくり

 まちづくりについて専門家が書いた本は数多いが、住民自身が著したものはそう多くはない。特に単著の本は。この本は地区計画制度が出来た1980年からの、地区単位のまちづくりの過程を住民の生活の視点から語った貴重な本である。西の真野、東の太子堂と、まちづくりの老舗の真野まちづくりとよく比較される、関東におけるまちづくりの歴史に名を知られる太子堂まちづくり。その世田谷区太子堂2・3丁目地区まちづくり協議会のリーダーの梅津政之輔氏が著した、30 年以上のまちづくりの変遷過程を綴ったものである。
 地区計画制度とともに、協議会方式まちづくりと普及したまちづくり協議会は地区計画が策定されると解散されてしまう所が少なくないが、30年以上もまちづくり協議会が解散せずに継続していることも珍しい。その意味は本書によく表れている。本書のタイトルに表れているように「暮らしがあるからまちなのだ」と、生活が続くようにまちづくりにも終了はない。
 真野まちづくりと異なり、もとは行政主導で地区計画制度の適用として、当時、最も災害の危険度が高い、この太子堂2・3丁目地区で住民参加のまちづくりが始まったのは1980年。行政にとっても住民参加のまちづくりは初めてのこと。地区計画の青写真が先に描かれていたことからの行政対住民の対立に始まり、道路拡幅、建物不燃化を推進したい行政側の論理と、道路の安全と沿道のコミュニケーション、生活文化を大事にする住民側の論理の葛藤は最初から最後まで続いて来た。言葉も行政用語と住民の生活用語のギャップがあり、そんな対立を含みながら、行政と住民の協働が続いてきたのが実際である。いつの間にか住民主導に変わってきたとも言えるが、正確には住民と行政の対話的まちづくりとも言うべき過程である。住民の間でも対立はつきものである。実際のまちづくりはそんな対立の渦にあるが、それが表面化して、解決のための対話を続ける。そこに今は切れてしまっている人と人との関係をつなげる努力がみられる。当の梅津氏もさんざん攻撃の対象にもされてきた。しかし、梅津氏は言う。「地域というのはいろいろな価値観の人がいる、まちづくり協議会はいろいろな価値観があることを知る広場みたいなところ」と。
 対立を避け、行政の論理になすがまま事業の終わりがまちづくりの終わりとなり、対立はないかのように水面下に隠れ、それぞれの生活が孤立化した地域と、このように対立を人がつながるきっかけとして丁寧に対話を続ける地域と、どちらが持続可能な社会であろうか。本当はこのような取り組みがいろいろな地域で暮らしを守るために広がってほしい。
 太子堂まちづくりは特別な特殊解ではない。梅津氏以外にも立役者はいろいろ居る。それぞれの地域で独自のまちづくりのリーダーシップを発揮する人が出てきてしかるべきである。「時間と忍耐はまちづくりの必要コスト」と氏が本書で語るように、これは30年以上まちづくりに関わってきた一住民が、後継者や他地区に伝えたい気持ちが随所にふんだんに表れている。それゆえに得るものの多いまちづくりの参考書である。

■評 : 乾 亨 (立命館大学産業社会学部教授)

自治的地域運営の先駆的にしてきわめて優れた事例

 「一人一人の住民が機嫌良く暮らすことができるまちを創らなあかん・守らなあかん」という、住民として当たり前の「想い」から太子堂のまちづくりは(梅津さんの活動は)はじまり、(行政の協力を得て)30年間にわたり、住民の想いに耳を傾け、住民同士で地域のあり方を話し合い、人と人とをつなぎ、ルールをつくり、少しずつ地域を良くする活動を継続してきた。とりわけ、狭隘道路・木造住宅密集という都市計画的課題を抱えた地域において、住民の安心・安全を守るために、人のつながりを育みつつ、住民同士の話し合いを基盤に、道づくりや防災広場づくり、木造住宅の不燃化などに取り組み成果をあげてきた経験は、当事者にしか語り得ない貴重な物語である。
 町の形や暮らしを激変させることなく、できるところから少しずつ良くしていく「修復型まちづくり」は、成果が見えるまでに時間がかかるため、近年、行政内部では評判が芳しくないそうであるが(一気に町の形を変える「クリアランス型」のほうが、効率的)…この本を読めば、「暮らしを守る」という立場で考えた場合、まちづくりは修復型にならざるを得ない、ということも納得できるに違いない。
 都市計画的規制まで含めて地域の方向を定め実行していくことは、一般的には行政の任務と思われているが、太子堂では30年も前から(もう一カ所、神戸市の真野地区でも35年前から)、「地域で決定し、地域で実行する」という自治的地域運営をおこなっているという事実に注目してほしい。近年、国も地方自治体も、「参加と協働」の相手として、小地域ごとに地域を代表し地域を運営する「協議会型住民自治組織」を立ち上げていく方向に向かいつつあるが、じつは、「太子堂まちづくり」や「真野まちづくり」は、自治的地域運営の先駆的にしてきわめて優れた事例なのである。その意味において、この本が発信している「住民の暮らしを守る」ために「地域で地域を運営する」というメッセージと経験は、決して「まちづくりの古典」や「昔話」ではなく、個々の住民がむき出しでグローバルな社会に放り出される新自由主義的政策がすすむ今こそ学ぶべきものだと考えている。
 地域で暮らす者にとっては「自分たちでできるんだ」と勇気づけられ、まちづくりやコミュニティに携わる自治体職員にとっては、これからのコミュニティ政策を考える上で示唆に富む一冊として強く薦めたい。

◎担当編集者より
 梅津さんは本書の「あとがき」で、あるシンポジュウムのパネラーに招かれたおり、その時の司会者だった佐藤滋さんから「私がまちづくりの研究を始めたころから活動している“古典的”な太子堂まちづくり協議会の梅津さんです」と紹介されショックを受け」たと書かれている。
 ご本人にはショックだったかもしれないが、私は最高の褒め言葉だと思う。
 世の中、流行廃りが激しく、人々の関心は移ろう。なにも本質的な前進がないまま、言葉がカタカナ語に変わり、事例が変わって何か新しくなったような気分になる。その繰り返し。それで本当に良いのだろうか。
 そんな流行廃りに惑わされず、時代に応じて変化しながらも、基本を守って漸進してきた太子堂はの当事者による本書を読んでいただき、「継続するとはどういうことか」を考えていただけたらと思う。
(前田)

『本で人をつなぐ まちライブラリーのつくりかた』/地域おこし協力隊活動報告ライブ映像

■学芸出版社おすすめの一冊
 礒井純充著
 『本で人をつなぐ まちライブラリーのつくりかた』
 乾聰一郎氏・岡本真氏に書評をいただきました!

乾聰一郎(奈良県図書情報館)
「個人」の第一歩から始まり、やがて縦横に繋がり形成されていくまちライブラリーというコミュニティに、新たな共生空間の可能性を見ることができる。そして本書は、なにより「個人」の想いをかたちにするための一歩を踏み出す勇気を与えてくれるのである。(抜粋)

岡本真(アカデミック・リソース・ガイド)
「ライブラリー」という言葉に惹かれて本書を手に取った方々には、タイトルだけに目を奪われず、本書のなかに広がる多様で豊饒な世界を味わい尽くしてほしい。200ページに満たない本書であるが、その中身はライブラリー本であり、コミュニティデザイン本であり、そして正しい意味でのビジネス書でもあるのだ。(抜粋)

詳細は「おすすめの一冊」で↓
http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/syohyo/index.htm
『本で人をつなぐ まちライブラリーのつくりかた』
http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/book/ISBN978-4-7615-1345-0.htm

リツイートキャンペーン! http://bit.ly/1BQgcK3
上記URLをリツイート!抽選で1名様に1冊プレゼント
3月は『まちライブラリーのつくりかた』!

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
■地域おこし協力隊活動報告 (ライブ映像、音でます)
平成27年3月8日(日)に東京・六本木にて地域おこし協力隊の全国サミットを開催!現地の様子を生中継しています
http://bit.ly/1xfeNVZ

『まちライブラリーのつくりかた』乾聰一郎氏・岡本真氏『リノベーションまちづくり』藻谷浩介氏

● おすすめの一冊/礒井純充著
『本で人をつなぐ まちライブラリーのつくりかた』

乾聰一郎氏・岡本真氏に書評をいただきました!

━ 乾聰一郎(奈良県図書情報館)
「個人」の第一歩から始まり、やがて縦横に繋がり形成されていくまちライブラリーというコミュニティに、新たな共生空間の可能性を見ることができる。そして本書は、なにより「個人」の想いをかたちにするための一歩を踏み出す勇気を与えてくれるのである。(抜粋)
━ 岡本真(アカデミック・リソース・ガイド)
「ライブラリー」という言葉に惹かれて本書を手に取った方々には、タイトルだけに目を奪われず、本書のなかに広がる多様で豊饒な世界を味わい尽くしてほしい。200ページに満たない本書であるが、その中身はライブラリー本であり、コミュニティデザイン本であり、そして正しい意味でのビジネス書でもあるのだ。(抜粋)

詳細は「おすすめの一冊」で↓
http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/syohyo/index.htm
『本で人をつなぐ まちライブラリーのつくりかた』
http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/book/ISBN978-4-7615-1345-0.htm

● 毎日新聞書評/清水義次著
『リノベーションまちづくり 不動産事業でまちを再生する方法』

毎日新聞3月1日朝刊「今週の本棚」で本書が紹介されました!評者は藻谷浩介さんです。本書を「人口減少社会・ニッポンにおける不動産の過剰供給と老朽化という根本問題に対して、100%現実的でかつクリエイティブな対処手法を提示するもの」「まちづくり以外にも使える『問題発見→対処のOS』を示したマスターピース」と評されています。

詳細は毎日新聞サイトで(会員登録が必要です)↓
http://mainichi.jp/shimen/news/20150301ddm015070030000c.html

━ 関連書籍
『藻谷浩介さん、経済成長がなければ僕たちは幸せになれないのでしょうか?』藻谷浩介・山崎亮著
http://bit.ly/1BQg64Q
『リノベーションまちづくり 不動産事業でまちを再生する方法』清水義次著
http://bit.ly/1Eccbhv

● リツイートキャンペーン! http://bit.ly/1BQgcK3
上記URLをリツイート!抽選で1名様に1冊プレゼント
3月は『まちライブラリーのつくりかた』!

本で人をつなぐ まちライブラリーのつくりかた 評:乾聰一郎(奈良県立図書情報館)

本で人をつなぐ まちライブラリーのつくりかた

礒井純充 著
四六判・184頁・定価 本体1800円+税
ISBN978-4-7615-1345-0
2015-01-01

http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/syohyo/index.htm

■■内容紹介■■ 
カフェやオフィス、個人宅から、病院にお寺、アウトドアまで、さまざまな場所にある本棚に人が集い、メッセージ付きの本を通じて自分を表現し、人と交流する、みんなでつくる図書館「まちライブラリー」。その提唱者が、まちライブラリーの誕生と広がり、個人の思いと本が織りなす交流の場の持つ無限の可能性をお伝えします。

○評 : 乾 聰一郎 (奈良県図書情報館)

 この本を読んでいて、日本には「公共」と「私(個人)」はあるが、「公」と「共」と「私」という括りが無いという話を思い出した。日本では「公」が「共」も担い、だから「私」は「公共」に対して要望し、与えられることが常態となってしまっているというのである。
 著者は、この「公共」のサービスが過剰だという。「私」は自ら何かをつくり出す存在ではなくなってしまっているというのである。だからこそ、著者は、「私」が想いと志をもって、あるいはまた、それに共感する人々とともに「共」の場をつくることにこだわるのである。組織を動かし最大公約数的に生まれてくるものではなく、個人がその手の届く範囲で、他者の協力も得ながら創り出すミクロな共生空間とでもいうべきものである。それが紆余曲折を経て、「まちライブラリー」として結実するのである。そのような著者の発想のもとになった本がもつ属性や本をめぐる人との関わり、さらには図書館という場へのまなざしは鋭く的確である。図書館をはじめとする公共や企業といった組織への痛烈な問いかけにもなっている。
 本書は、そこにいたる前史から始まる。組織人として事業を進めるなかで、自己の想いを実現しようと猛進し、達成したかに見えた先の挫折。失意のなかでの“師匠”友廣裕一さんとの出会い、そして再出発。この一連の物語は、失礼ながら一篇の青春小説を読んでいるようだ。挫折から立ち上がる姿には、爽快感と可能性への信頼感が満ちている。そして、まち塾@まちライブラリーの立ち上げから、ISまちライブラリー、そして大学と市民との協働でつくりあげたまちライブラリー@大阪府立大学をはじめ、全国に広がるまちライブラリーやマイクロライブラリーが興味深いエピソードとともに紹介されている。
 「個人」の第一歩から始まり、やがて縦横に繋がり形成されていくまちライブラリーというコミュニティに、新たな共生空間の可能性を見ることができる。そして本書は、なにより「個人」の想いをかたちにするための一歩を踏み出す勇気を与えてくれるのである。

○評 : 岡本 真 (アカデミック・リソース・ガイド)

 待望と言ってもいいだろう。礒井純充さんの単著『本で人をつなぐ まちライブラリーのつくりかた』が、これまた切りのいい2015年1月1日に刊行された。2014年は非図書館員による図書館テーマ本が一斉に花開くように刊行されたが(猪谷千香さんの『つながる図書館』(ちくま新書)、鎌倉幸子さんの『走れ、移動図書館』(ちくまプリマーブックス)、神代浩さんの『困ったときには図書館へ』(悠光堂)、小著『未来の図書館、はじめませんか?』(青弓社))、本書はこうした流れの締めくくりに相応しい一冊である。
 なぜか? そのポイントを、これから本書を手にする方々の楽しみを奪わない程度に数点だけ述べておこう。

1. 単に図書館を語った本ではなく、手あかのついた表現ではあるが、著者のドラマチックな半世がつづられた冒険記であること
2. その半生、特に働き出してからこれまでの間に一人の人間が本と人との交流の中で培ってきた哲学を感じられること
3. そして、著者が現在取り組んでいる「まちライブラリー」と「マイクロライブラリー」という2つの交錯する冒険を追体験できること

 本書のポイントはもちろんほかにもあるだろうが、私からすると、これらの3点は絶対に譲れないところだ。つまり、1冊ではあるが、何通りもの読み方ができ、書名からは想像できなかったかもしれないストーリーにであえるのだ。それがこの『本で人をつなぐ まちライブラリーのつくりかた』の最大の魅力である。特に「ライブラリー」という言葉に惹かれて本書を手に取った方々には、タイトルだけに目を奪われず、本書のなかに広がる多様で豊饒な世界を味わい尽くしてほしい。200ページに満たない本書であるが、その中身はライブラリー本であり、コミュニティデザイン本であり、そして正しい意味でのビジネス書でもあるのだ。

○担当編集者より
 「本」と「人・まち」が交わるところには、まちづくり本編集者として興味がありました。
 本書は、近年新しい図書館のあり方が多く提案されているなかで、「個人」の想いと力を発揮できる「まちライブラリー」と「マイクロライブラリー」の取り組みを紹介しています。
 本×人の場づくりの持つ無限の可能性を感じていただければと思います。(岩崎)

『桂離宮・修学院離宮・仙洞御所 庭守の技と心』評:岸田洋弥(京都大学大学院農学研究科)

桂離宮修学院離宮・仙洞御所
庭守の技と心

川荑昇作 著、仲 隆裕 監修

A5判・160頁・定価 本体2500円+税
ISBN978-4-7615-2586-6
2014-12-20

■■内容紹介■■

日本庭園の四季折々の表情は、多くの人々に賞賛されてきた。その美しさはどのような技術によって形成され、保たれているのか。40年にわたり宮廷庭園(桂離宮修学院離宮、仙洞御所)の造園技官を務めた著者が、脈々と受け継がれる技術を明らかにしながら、心を揺さぶる写真とともに、自然の美を表現した庭園の魅力に迫る。

http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/syohyo/index.htm

◎評 : 岸田洋弥 (京都大学大学院農学研究科)

 日本庭園の良さを語る際、あるいは、日本人ならではの感性を語るときに、「わびさび」という言葉が広く使われます。実際、こうした感性は私たちの心に根付いており、ふとしたときに「わびさび」的な美しさに感動する経験は誰もがもつことだろうと思います。しかし、「わびさび」とはなんだろうか、私たちはなぜ感動したのだろうか、と考えると、答えるのは難しいです。

 「桂の月」から導入されるこの本は、三つの宮廷庭園について、その美しさと技術を、40年自らの手で庭を管理してこられた川瀬さんが、自身で撮影された写真とともに語られたものです。どこをとっても、丁寧な言葉ばかりで印象深いのですが、その中でも繰り返し述べられているのが、自然の営みや、命を大切にすることです。

 例えば、「巡る季節」では、四季とともにある庭園の美しさについて、季節ごとに綴られています。始まりの季節として最初に紹介されているのは、木々が次の一年を生きるための力を蓄え始める季節である、秋です。そして、紅葉を見るときに大切なのは、「次の年もしっかりと生きていくため、植物が一つの生命を燃やしている、その瞬間の姿であるということを感じ取ること」と述べています。自然の中の命の目線にたち、庭園の美しさを捉えるこの感性こそが、本来の日本人的感性なのだと思います。

 現代に生きる私たちは、この本に綴られているような自然への思い、姿勢をもっているでしょうか。かつての日本人は自らの手を動かし、自然へ関わっていました。今では、私たちが自然に自らの手を下す機会は少なくなっています。今もつこの「わびさび」的感性は、かつての日本人の目線を引き継いできただけもので、自ら自然に関わらなくなってそれは徐々に失われているのではないかと感じます。

 この本には、自らの手で自然と関わりながら庭園を守ってきた人の目線が綴られています。その目線を通じて、自分の自然との関わり方を改めて考えることができると思います。

◎担当編集者より

 本書ができあがるまでに、3年ほどの月日を費やしました。
 宮内庁の専門職として庭園に関わってこられた川瀬先生は、ほんとうに美しい庭や樹木の姿を知っているがゆえに、現状を危惧されており、受け継がれてきた技術を伝えたい、という想いを強くもっています。
 それらを少しずつ紐解き、ご自身が長年にわたって撮影された、庭園の四季折々の表情を捉えた写真とともにまとめました。
 日本庭園を見る眼が少し変わるかもしれません。
(中木)

『スマート・テロワール』評 : 宗田好史(京都府立大学教授)

■おすすめの一冊

評 : 宗田好史 (京都府立大学教授)

 農業と農村を語る本の多くは、現状を肯定した上で、その再生への道筋を描こうとしているように見えます。しかしこの本は違います。売れる農産物を作り、過疎化する農村に若者を呼んで従来のやり方か多少改善した農業に従事してもらうというような、対症療法ではなく、瑞穂の国の水田の半分を大胆に畑作に転換することからという根本的な治療、つまり現代の日本農業の大転換を説いているのです。
 7千ヘクタールの畑でポテトチップスのカルビーが契約栽培する畑を見れば、有効活用されていない100万ヘクタールの水田の1割でも同様の転換は起こるかもしれません。長年の供給過剰を顧みず、稲作にこだわる農業には無理があります。現代の国民が求める食料需要に応え、農業者の自由な発想と創意工夫で食の可能性を追求する農業が不可欠です。この本は、この転換の道筋を示しています。
 そんなことは不可能だと思い込んでいる関係者を啓蒙することの難しさは容易に想像できます。でもこの本の分りやすい内容に触れた皆さんが、ごく当たり前に思えるこの道筋に共感し、共鳴することで、頑なな意識が変わっていくのだと思います。
 今や我々の食生活に溶け込んだカルビーの経験が教えてくれる食と農の新しい未来が日本の農業と農村を変える可能性に大いに期待しています。

□松尾雅彦著『スマート・テロワール』のご紹介
http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/syohyo/index.htm

□宗田好史さんの本
 http://bit.ly/1zvCZJl

□学芸セミナー@東京
「スマート・テロワール−農村消滅論からの大転換−」
 松尾雅彦/北野収
 日時:2015年1月30日(金)
 時間:18:00開場、18:30〜20:30
 場所:ちよだプラットフォームスクエア505・506(東京)
 会費:1000円、定員50名(先着順)
   『スマート・テロワール』ご持参の方、会場でお買い上げの方は500円
 交流会は満席ですが、セミナーは残席が少々ございます
 詳細&お申込み
http://www.gakugei-pub.jp/cho_eve/1412sma/index_tokyo.htm

□松尾雅彦著『スマート・テロワール
 リツィートで1冊プレゼント・キャンペーン実施中!(2015.1.5〜1.31)
https://twitter.com/gakugei_today/status/551924813837516801

NPOのためのマーケティング講座

NPOのためのマーケティング講座

長浜洋二 著

A5判・200頁・定価 本体2400円+税
ISBN978-4-7615-2576-7
2014-10-01

■■内容紹介■■ 
NPOが増加し、新寄付税制など活動を支援する法制度が整うにつれて、NPO自身の事業目的を遂行する実力が問われる時代になってきた。組織のポジションを見究め、ターゲットのニーズに基づいた事業を企画・実施し、成果を測定しながら改善サイクルを確立する…など、NPOマーケティングの基本と実務を豊富な事例をもとに解説。

http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/syohyo/index.htm

◎評 : 工藤 啓 (認定NPO法人育て上げネット理事長)

早く、遠くへ、みんなで行くために。

本書は、地域や社会の課題を解決していくために立ち上がったNPOが、活動をともにしていく素晴らしい仲間たちと、数々の難題を乗り越えながら目的地に到達するために必要な「マーケティング」という道具を授けてくれる。

これから活動を始めるNPOも、10年以上の歴史を持つNPOマーケティングをやっていないわけではない。創設者の原体験や団体が蓄積した経験から「感覚」や「勘」をベースにマーケティングを実施しているはずだ。しかし、航海図もコンパスも持たず、航路も告げられないままに大海へ漕ぎ出す船に乗り込みたいひとはどれだけいるだろうか。不安であり、恐怖ですらある。

課題を解決していくには多くの仲間が必要だ。NPOという船にかかわる一人ひとりの仲間が、安心と共感、居場所と出番を持って、ともに苦難を乗り越えながら目的地に向かうことができるよう、「旅のしおり」を作成しなければならない。

本書では、企業マーケティングでおなじみの4Pや4Cに触れつつ、ボランティアという人的資源を持つNPOに新たなフレームワークとしての5C-価値(Customer Value)、コスト(Cost)、コミュニケーション(Communication)、利便性(Convenience)、快適さ(Comfort)-という新たなマーケティング概念を提示する。

また、NPOの先行事例を豊富に掲載することで、読者にNPOならではの「旅のしおり」作成を指南していく。私も社員とともに、長浜氏が主宰する「草莽塾」でNPOマーケティングの薫陶を受けた。まさに本書は「草莽塾」で学んだエッセンスが詰まっている。
営利と非営利の境界線を越えていかなければならない現代社会において、NPO関係者はもとより、企業マーケティングに精通する人々にとっても新たな学びと発見に出会える一冊である。

◎担当編集者より
NPOのためのIT活用講座』とともに、「新しいNPOの本」として企画しました。NPOマーケティングに関する初めての体系的な手引きとして、全国の非営利セクターに従事する方々や、NPOでのマーケティングに関心のある企業セクターの方々にお読みいただければと思います。(岩崎)

リノベーションまちづくり 不動産事業でまちを再生する方法

リノベーションまちづくり
不動産事業でまちを再生する方法

清水義次 著

A5判・208頁・定価 本体2500円+税
ISBN978-4-7615-2575-0
2014-09-01

■■内容紹介■■ 

空室が多く家賃の下がった衰退市街地の不動産を最小限の投資で蘇らせ、意欲ある事業者を集めてまちを再生する「現代版家守」(公民連携による自立型まちづくり会社)による取組が各地で始まっている。この動きをリードする著者が、従来の補助金頼みの活性化ではない、経営の視点からのエリア再生の全貌を初めて明らかにする。

http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/syohyo/index.htm

○評 : 竹内昌義 (建築家/みかんぐみ

この本はリノベーションとありますが、建築の専門書ではありません。人口減少、高齢化に伴い、自治体の収入が減り、中心市街地が衰退して行くなかまちづくりに関わる全ての人のための本です。でも、現状維持を考えている商店主のための本ではありません。人通りが少なくなっている町を見て、漠然となんとかしたい人、あるいはお店(カフェとか雑貨屋さん)をやってみたい人のための本です。あるいは、役所でなんとなく今までのやり方に疑問を持っている人のための本です。

人口増加時代には制度をゾーンごとに網がけをする都市計画の手法がうまく機能していましたが、現在はうまくいきません。再開発をしてもテナントが入りづらくなっています。この状況のなかで重要なのはコンテンツ。筆者は風俗や流行を観察する考現学の手法を応用して、まちをつぶさに観察し、この手法を編み出しました。そのノウハウが詰まっています。

現在、人口減少の時代に対する理解はすでに全国的に共通なものとなっていますが、それに対する方法論は、実はどこにも示されていません。その方法が実にわかりやすく解説されています。具体的には「パブリックマインドをもった民間が補助金に頼らず、小さな事業を起こしつつ、その敷地だけではなく、スモールエリアを変えていく。行政がその事業に協力し、それを応援していく。」ことを目指します。これは、後に負担になる無駄な投資をする再開発でもなく、まちづくりを外部委託し思考停止、あげくに悪平等を徹底する行政のスタンスでもありません。また、未だに人口増加時代からの方法を捨てられない専門家とも無縁のものです。

そして、それらの取り組みは現在、確実に成果をあげつつあります。この本はそれらの事例を交えつつ、物語としても楽しめます。ただ、単なる物語ではなく、この本をガイドブックとして具体的に使い、まちづくりを実践することが求められています。

○担当編集者より

補助金漬けの「まちづくり」はもうダメ。よく聞く言葉です。
この本は「では、どうすればいいのか」に真正面から答える本です。
本書で、「現代版家守事業」という、ビジネスとしてのまちづくりの最先端をご確認ください。(岩崎)

『建築を、ひらく』 オンデザイン 著

建築を、ひらく

オンデザイン 著

A5判・192頁・定価 本体2300円+税
ISBN978-4-7615-2574-3
2014-06-15

■■内容紹介■■ 
対話で築きあげる設計手法で仕事の領域を広げるオンデザイン。ヨコハマアパートメントから地方のまちづくりまで、様々な展開をみせるプロジェクトや、パートナー制による設計体制、模型等のコミュニケーションツールを紹介しつつ、建築家だからこそつくることができる「パブリック」の新しいかたちを探る。はじめての単行本。

http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/syohyo/index.htm

評 : 南後由和 (社会学者・明治大学専任講師)

 オンデザインは、プロジェクトごとに、代表の西田司とスタッフがパートナー制をとることを特徴とする建築設計事務所だ。その事務所の運営スタイルが、初の単著である本書にも反映されており、西田以外に10人を超えるスタッフが執筆に参加している。建築家個人のなかに閉じられた知ではなく、西田とスタッフの間、さらにはオンデザインとクライアントの間でインタラクティブに生成される「関係知」が収録されている。

 「対話が重要である」というフレーズだけであれば、よく耳にする紋切り型の物言いにすぎないが、本書にはオープンでフラットな対話型手法による、オンデザイン独自の具体的なツールが数多く披露されている。たとえば、点景や素材をつくり込んだ大きなスケールの模型、プレゼンテーションブック、コミュニケーションブック、竣工アーカイブ、竣工後アンケート。これらは、専門家にしかわからないツールではなく、専門家と素人が単なる情報の共有を超えて、リアリティを共有し、共感を生むツールとしてある。そこには、「対話」のプロセスも履歴として可視化されている。これらは建築と社会について研究している私のような社会学者にとっても貴重な研究材料となりうるものだ。

 オープンでフラットな手法の対象は、スタッフやクライアントとの人間関係だけにとどまらない。オンデザインは、「建てる」ことにとどまらず、運営やまちづくりから集合住宅や個人住宅に至るまでをフラットに捉え、建築的思考の展開可能性を果敢に追求している。「設計中も竣工後もフラットに考える『建築のライフサイクル設計』」(p99)も、フラットな手法のひとつと言えよう。

 本書の目次には、『建築を、ひらく』というタイトルがそうであるように、「人を巻き込む」「風景を育む」「垂直にあつまる」などの動詞が並んでいる。オンデザインは、建築を動詞にまで還元してから、組み立てようとする。「モノ」のデザインだけではなく、「コト」のデザインをしていると言い換えてもよい。なかでも興味深いのが、設計対象の「読み替え」によって、設計対象のスケールを拡張し、建築の新たなフィールドを開拓している点だ。たとえば、オンデザインは、保育所を「人を育む場」として、幼稚園を「まちの学校」として、観光地づくりを「関係値づくり」と読み替える。そのことにより、建物より広範なスケールを射程に入れ、新たな設計のフィールドを開拓し、「建物に関わる人の分母を圧倒的に増やすことができる」(p102)というわけだ。こうして共創されるパブリックは、「僕たち私たちのもの」(p81)という当事者意識を育む。抽象的な理念を振りかざし、自らの実感やリアリティが希薄なパブリック意識にもとづく建築を設計していたひと昔前の建築家像はすっかり塗り替えられている。

 また、「建築を、ひらく」という発想は、「建築と社会をつなぐ」という発想とは似て非なるものである。なぜなら、「建築と」は、建築が自明の領域としてあり、それをいかに社会とつなぐかという考え方を前提にしている。それに対して、「建築を」は、建築という領域の輪郭を自明視することなく拡張していく考え方、そもそも建築と社会がバラバラに存在するのではなく、建築は社会を含み込んだものとしてあるという考え方と結びついているからだ。オンデザインには、「と」から「を」への発想の転換がある。

 ここまで、オンデザインのオープンでフラットな手法に着目してきたが、必ずしもそれを建築その他すべてがフラットであるべきだという主張と見なさない方がよい。本書で、建築は「アンカー」であると指摘されている(オンデザインの事務所では、西田がアンカーである)ように、やはり建築が核となることで、人を巻き込み、拠点をつくり、風景を育み、持続性を持たせることができる。「複数の関係性を見える化し、場所を通じて結晶化してい」くこと、「おぼろげだったものに新しい関係性や構造を与えて定着させていくこと」(p119)。これらは建築の固有性と可能性であり、本書には、そのような建築だからこその固有性と可能性が満ちている。

○担当編集者より

 本をつくる相談をはじめてから、2年以上になる。 設計だけではない活動をされていることに興味を持ったので、作品集ではない本にしたかった。
まずは3回連続レクチャーを開催した。毎回ゲストを招いて、オンデザインってどんな事務所なのか、なぜ注目されるのか、何がおもしろいのか? を明らかにしようとした。
 オンデザインは、代表の西田さんの(おそらく直感的な)マネジメントのもと、所員(メンバー)それぞれの個性が発揮されている。プロジェクトも多様だし、施主によってできあがるものも違ってくるから、「これがオンデザインです」というものがはっきりしない。そこが面白さでもあるのだが、なかなかまとまりにくく、10回以上にわたって原稿を少しずつ仕上げていただいた。
 彼らが建築において取り組んでいるように、本づくりにおいても人を巻き込んで、対話を重ねることを大事にされていたのが印象的だ。そうやって少しずつ仕上げられた入魂の1冊、ぜひ読んでみてください。(中木)